南方特別留学生ラザクの「戦後」

  南方特別留学生ラザクの「戦後」
   ─広島・マレーシア・ヒロシマ─

著者:宇高雄志
判型:四六判
頁数:270頁
ISBN978-4-931246-28-7 C0095
定価:本体1900円 + 消費税
【内容】
「戦後」のうつろい
戦時下、マラヤから広島文理科大学(現・広島大学)に留学した南方特別留学生の一人、アブドゥル・ラザクさん。被爆から九死に一生を得て帰国。祖国マレーシアで、マハティール首相が推進したルックイースト政策のもと、日本とマレーシアの架け橋として、日本語教育に身を捧げたラザクさんの「戦後」を通して、「廣島」から「広島」、そして「ヒロシマ」へ──、そのうつろいを検証する。
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【目次】
1. 南方特別留学生を記憶すること
 「興南寮跡」碑
 ラザクとの出会い
 南方特別留学生の「戦後」
 広島のいま
 記憶の旅へ
2.馬来興亜訓練所と国際学友会
 ラザクの生まれたペナン
 アイル・イタムへの坂道
 カンポンから学校へ
 教師をこころざして
 マラヤの銀輪部隊
 「大東亜」の留学生
 「読み物好き」の日本人
3.廣島の留学生
 興南寮の留学生
 広島文理科大学
 「ラササヤン」
 母の名、エノラゲイ
 「わたしは地獄をみた」
 文理科大学の星空
 友の死
 京都の墓
 「捕虜のようなものだから」
 「わすれちゃいましたよ」
4.ことばと独立の精神
 父としてのラザク
 祖国へ
 スルタン・イドリス師範学校
 教員としての第一歩
 独立を「設計」する
 ムルデカ! ムルデカ!
 独立とマレー人
 クアラルンプール語学研修所
 5月13日事件
 ブミプトラ政策
 ジャウィ語とテレビ
 「ワン・マレーシア」
5.ルックイーストと日本人
 クアラルンプール日本人墓地
 クアラルンプール日本人会
 空白期の日本人
 マラヤ連邦と戦後の日本
 マラ工科インスティチュート
 マハティール・モハマド
 ルック・イースト政策
 ルック・イーストと日本語
 勲四等瑞宝章と被爆者手帳
 美しい日本語を教える
 ゆらぐ「イースト」
 「カイシャ」とアニメ
 日本に留学するということ
 ルック・イースト30年
 うつろう日本人
 「日本人もマレーシア人も変わりましたよ」
6.「ヒロシマ」とアジア
 ツメ跡
 「廃墟」から「原爆ドーム」へ
 「平和の工場」
 広島原発
 空白の日々
 留学生と「興南寮跡」碑
 ラザクの広島再訪
 広島アジア競技大会
 広島平和記念資料館
 「戦後50周年」の留学生
 ドームを柵で囲う
 ピース・メモリアル
 「聖域」の地中
 世界遺産と市街地
 瓦礫のなかに
 語り部の戦後
 8月6日の夜明け前
7.「あたらしい広島」へ
 マレーシアの原爆展
 第二の故郷
 「ひろしま」

【著者紹介】宇高雄志(うたか・ゆうし)
兵庫県立大学環境人間学部准教授。博士(工学)。1997年京都大学大学院修了、同年より広島大学に勤務。マレーシア科学大学とシンガポール国立大学に研究員として所属。2005年より現職。
おもな著作に『マレーシアにおける多民族混住の構図 』(明石書店、2009年)、『住まいと暮らしからみる多民族社会マレーシア』(南船北馬舎、2008年)。訳書にウィリアム・リム著『21世紀アジア都市の未来像─シンガポール人建築家の挑戦』(明石書店、2004年)など。

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