パプアニューギニア断章

著者:庄野護
判型:四六判
頁数:208頁
ISBN4-931246-18-4 C0039
定価:本体1500円 + 消費税

【内容】
未開と文明のまなざし
<部族社会>が提示する21世紀の社会像

 パプアニューギニアは、人類学の定番フィールドとして、あるいは本多勝一を嚆矢とする「未開モノ」として、そして戦後の「戦記モノ」として多く語られてきた。本書は、<同時代を生きるパプアニューギニア>から首都ポートモレスビーに暮らす人々を現地報告する。アフガン、イラク問題で立ち現れてきた<部族社会>への理解と見識が現代人にとって必須課題となりつつある今こそ、ニューギニアは語られる……。
【書店様用注文短冊】

 丸木船の向こうの海には近代的な鰹船が浮かび、石器の鉈のこちら側にはコンピュータが備え付けられている。伝統的衣装の男たちは、夜には自家発電装置を使ってシルベスタ・スタローンの映画などを吹き替えなしで見ている。コーラを飲み、米の味に目覚めた世代の食生活は、現代の日本人とたいして変わらない。(本文より)

【目次】
(1) ポートモレスビーまで
(2)机も椅子もなかった
(3) 金曜日の午後
(4) 配達されない小包
(5) 銀行の窓口から
(6)“ラスカル”な日々
(7) ニュージーランドから来たネコ
(8) ガソリンスタンドは危険地帯
(9) 住まいの選び方
(10) 日本人会ソフトボール大会
(11) 観光案内はしません
(12) つぎつぎと壊れる
(13) クラフトマーケット
(14) いまも生きるカルトと呪術
(15) 日本食事情
(16) マレーシアからの移民一家
(17) 季節の移ろい
(18) イモ食とまとめ食い
(19) 白豪主義の名残
(20) 9・11の「笑い」
(21) 国会議員選挙
(22) 援助行脚する大臣
(23) 大使公邸
(24) 女たちのプライド
(25) 極楽鳥の羽
(26) 家族の肖像
(27) 女たちの自分史
(28) 善意の記憶
(29)「税金ドロボー」か
(30) 文明との遭遇、その瞬間
(31) ニューギニア島の“発見”
(32) 文化を守る免疫力
(33) 百花繚乱のニューギニア戦記
(34) 漂流する日本の人類学
(35) 裸体の変遷
(36) ふたりの女性人類学者
(37) マリノフスキーの誤認
(38)“青春”のない青年たち
(39) 食人と首狩り
(40) 身分制の起こり
(41) ブーゲンビル島に見る“現代の戦争”
(42) 文化精神医学に学ぶ
(43) 同時代を生きる

【立ち読みコーナー】約196k:「はじめに」より

【著者紹介】庄野護(しょうの・まもる)
1950年徳島生まれ。中央大学中退。アジア各地への放浪と定住を繰り返し、文化・言語の研究を続ける。タイ、ベトナム、インドネシア、バングラデシュ、スリランカ、パプアニューギニア、ケニアなど、アジア・アフリカでの活動歴は40年、滞在歴は20年ちかくになる。多様なフィールド体験に裏うちされた独自の視点をもつアジア研究者である。著書に『国際協力のフィールドワーク』『スリランカ学の冒険』(南船北馬舎)、『学び・未来・NGO NGOに携わるとは何か』(共著・新評論)。現在、ラオス・ビエンチャン在住。

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