モフセン・マフマルバフ監督
カンダハール
KANDAHAR
(2001年/イラン・フランス合作/上映時間85分)
妹を救うために、20年間にわたる戦乱で混乱した祖国アフガニスタンに帰還した
女性ジャーナリストのカンダハールへの旅…。シュールな美に包まれた、衝撃と感動のドラマ。
報道では知り得ないアフガニスタン民衆の真実がここにある!
 アフガニスタンは、何年もの間、空からは人々の頭上に爆弾が降り注ぎ、地には人々の足もとに地雷が埋められてきた国です。アフガニスタンは、逃げ場のない難民たちが、その隣人たちによって追い出されている国です。アフガニスタンは、干ばつによって人々が飢えと渇きに苦しみながら死に向かわされている国です。世界のどこよりも、この国では神の名が語られるというのに、この国は神にさえ見放されているかのようです。
 アメリカでの9月11日の事件が起こるまで、アフガニスタンは忘れられた国でした。今でさえもアフガニスタンに注意が向けられているのは、ほとんどが人道的な救済のためではないのです。もしも過去25年間に、権力ある者が人々の頭上に降らせたものが、ミサイルのかわりに書物であったなら、無知や部族主義やテロリズムがこの地にはびこる余地はなかったでしょう。もしも人々の足もとに植えたものが地雷のかわりに小麦の種であったなら、数百万のアフガン人は死と難民への道を辿らずにすんだでしょう。
 このような状況の中、アフガニスタンについての映画に<フェデリコ・フェリーニ>メダルが与えられることは、ひとうの希望の徴です。しかし、この賞に与えられるものが一切れのパンであったなら、飢えたアフガニスタンの人々に分け与えることができたのに、と思います。もしこの賞が雨であったなら、アフガニスタンの乾いた地に降らせることができたのに、と思います。もし自由の風であったなら、アフガン女性のヴェイルに向けて吹かせることができたのに、と。
 この賞はパンではなく、雨ではなく、自由の風ではなく、一つの希望の徴にすぎませんが、私は、この希望の徴を、アフガニスタンの苦しむ人々に捧げられた希望とともに、私のもとに預かっておこうと思います。今日、世界の文化大使の方々の前で、私は、アフガニスタンの人々に約束します。アフガニスタンが自由になったら、カンダハールの町にフェリーニの名をとった学校を建てることを。皆さんからいただいたこのメダルは、その学校の生徒たちに捧げます。(2001.10.3 モフセン・マフマルバフ)
 ■2001年ユネスコ<フェデリコ・フェリーニ>メダル授賞記念スピーチより■

上映スケジュール(変更の可能性がありますので詳しくは各劇場までお問い合わせください)
【東京】新宿武蔵野館3:電話03-3354-5670:2002年1月12日より(終了日未定)
【大阪】心斎橋パラダイス・シネマ:電話06-6282-1460:2002年2月2日より22日まで。
【大阪】動物園前シネフェスタ:電話06-6647-7188:3月2日より8日まで。
【名古屋】名古屋シネマテーク:電話052-733-3959:2002年2月28日より3月15日まで。
【京都】京都朝日シネマ:電話075-255-6760:2002年3月下旬公開
【神戸】三宮アサヒシネマ:電話078-251-9877:2002年2月16日より3月1日まで。
【福岡】シネサロン・パヴェリア:電話092-852-5650:2002年3月2日より(終了日未定)
【札幌】シアターキノ:電話011-231-9355:2002年春公開(1月26日アーバンホールにて特別上映)
【沖縄】スカラ座:電話098-863-1933:2002年2月2日より(終了日未定)
【松本】シネマセレクト(松本中劇):電話090-3343-0578:2002年2月20日より24日まで。
【静岡】サールナート・ホール:電話054-273-7450:2002年4月27日より5月10日まで。
【岡山】シネマ・クレール:電話086-232-2281:2002年3月公開
【金沢】シネモンド:電話076-220-5007:2002年4月公開
 ………以降順次全国公開予定
資料提供:チャンネルアジア

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