●ななまる通信(巻2):No.1平七丸
 ●忘れっぽい私の、かろうじて記憶に残る2004年面白かった本:Best5●
    
(1)鬼降る森(高山文彦・幻戯書房)
 峡谷にこだまする刈干切り唄、神と鬼の伝説、夜神楽の舞。焼酎をぐびぐび飲りながら夜が更けてゆく…。著者の生まれ故郷・高千穂をルポしたこの作品に誘われて、私は昨夏、嫁サン子連れで現地を訪れました。
(2)昭和史(半藤一利・平凡社)
 司馬遼太郎が最期まで書くのを嫌った「昭和」は愚昧と傲慢と致命的な幼児性に溢れている
(3)市民と武装(小熊英二・慶応大学出版会)
 市民の武装が絶対王政からの自由を担保したという近代市民像は目から鱗だった。数々の言説を緻密に読み解くことから新たな視座を浮かび上がらせる著者の鮮やかな手法に、私はここ何年か、はまっている。
(4)反戦略的ビジネスのすすめ(平川克美・洋泉社)
 戦争の文脈でビジネスを語るなかれ。「交換」と「贈与」を本能とする動物が人間だ。全人間的行為としてのビジネスへと<脱構築>してゆく。ビジネス書はほとんど読まないけれど、これはすごく勉強になった。
(5)僕の叔父さん 網野善彦(中沢新一・集英社新書)
 「飛礫」「アジール」「天皇」…網野史学の揺籃期を甥っ子の著者を通じて覗き見る興味深い本だった。「あとがき」もよかった。
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