■第8回■■今なら間に合う!花粉症はこうすれば治る(はずだ、と思う)■

 花粉症の季節がまもなく始まる。今年は例年に比べて花粉の飛散が極端に多いという予想だ。憂鬱な思いで春を迎えようとしている人もけっこういることと思う。で、今回は趣を変えて花粉症撃退法なるものを公開したい。医学界非公認の処方である……。
 さて、花粉症の原因として、過去の節操のない大規模なスギ植林のせいだとか、自動車の排ガスによる大気汚染だとか、あるいは密閉度の高いサッシに閉じられた住空間に寄生するハウスダストだとか、さまざまなことがいわれているが、ぜーんぶ決定的なものではない!と、まずは断言しておきたい。なぜなら、花粉症がこれほどの国民病になる以前の時代を振り返れば明白だ。大がかりなスギ植林が始まるまえにも、当然スギ林は昔からあったわけで、そのスギ林の周辺住民に「風土病しての花粉症」が取り沙汰されたという話は聞いたことがない。大気汚染にしても、60〜70年代のなんでもありの光化学スモッグ時代に比べれば、ましにはなっている。60〜70年代当時の汚染度からすれば当然花粉症が多発していてもおかしくないが、花粉症が問題になりだしたのはここ20〜30年のことだ。いいかえれば、さまざまな環境汚染にたいして規制が厳しくなりだしてから、つまり大気汚染に一定の歯止めがかかってからの花粉症ブームである。モーモーと大量の黒煙を吐きちらすバスやトラックでひしめき合う途上国の都市において、花粉症に苦しむ人が多いということも寡聞にして知らない。大気汚染説も決定的ではない。ちなみに花粉症が多発している地域は、日本、アメリカ、北欧だそうだ。
 いまひとつのハウスダストだって、昔は、その代表であるダニ、シラミは人間自身が飼っていたわけで、今とは比べものにならないくらいの直接的なかかわりをもつ存在であった。つまりスギ植林、大気汚染、ハウスダスト、これらは二次的な原因であっても決定的なものではないといえるだろう。かつてはどうってことはなかったスギ花粉や大気汚染、ハウスダストに、別のもっと根本的な原因によって、過敏に反応してしまう柔なからだになってしまったところに問題がある。
 前置きが長くなってしまった。その根本的で、決定的な原因を紹介しておこう。ストレスである。高度ストレス社会になって花粉症が国民病になった。まず間違いない。先に挙げた日本、アメリカ、北欧。共通するのはすべて高度ストレス社会であるということだ。現代の私たちが、30年前の日本人と比べて、比較にならないほど体内にためこんだ“悪いもの”、それはストレスである。
 ストレス説に気づいたのはある薬剤師の話からだ。一部の薬局では花粉症を抑える薬としてカルシウムの摂取を患者にすすめていると聞いた。カルシウムが花粉症に効く? なぜ効くのかよくはわからないが、経験的にカルシウムが効いた。これは医学界ではまったく無視された民間療法的な処方であるが、私からすれば科学的根拠ありと考える。それはストレスによってもっとも費消される栄養素がカルシウムだということだ。
 私は85〜90年前半まで、ひどい花粉症に苦しむからだであった。しかし今はそれほどではない。かかったのか、かかっていないのか、わからない程度の自覚症状ですんでいる。いったん花粉症にかかると、その症状は今後それより酷くなることはあっても軽くなることはまずないといわれるが、私の場合はそうはならなかった。なぜなら、春が来る前に、そう、毎年今頃の時期からからちゃーんとカルシウムを錠剤で摂取しておくからだ。注意したいのは発症してからでは遅い。事前にカルシウムを仕込んでおくことがポイント。もっとも薬品にたよるのではなく、ふだんの食事で、かつストレスをコントロールすることが一番いいわけだが、これができれば苦労はない。だから錠剤で手っ取り早く、となる。花粉症のあなた!今なら間に合いますぞ。カルシウムをとっておこう!
 このストレス・カルシウム説、まわりの多くの花粉症人間に伝授してきた。しかしどういうわけか、あまり信用してもらっていない。私の妻もひどい花粉症であるが、この説の信奉者ではない。これは私の人格に起因する結果かもしれないが、なんとも残念なことだ。ある知人はこのストレス・カルシウム説を医者の前でとうとうと披露し、医者から「それは誰の学説ですか?」と訊かれ、大いに馬鹿にされたと言った。悲しい話である。(平七丸)

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