■第6回■■『天竺南蛮情報』が休刊…■


2002年12月号
 月刊『天竺南蛮情報』(東京ジューキ食品・ダージリン会発行)が2002年12月号をもって休刊となった。創刊が1980年8月。私は85年頃、雑誌『ダカーポ』誌上のミニコミ紹介欄の記事でその存在を知り、以来購読してきた。いま手元のファイルに綴じ込んだ最初の号を眺めると1986年1月号となっているのでかっきり17年間の購読者だ。南アジア関係の情報はこの冊子にずいぶんとお世話になった。
 86年1月号では「天竺広記(28)」と題して荒松雄氏が連載している。3月号のその連載記事のなかで『わが内なるインド』(岩波書店)の刊行をアナウンスする一文があった。本棚のどこかにあったぞ。記憶も曖昧な、遠い昔に買った本。そう考えると、ずいぶん時間がたったのだなあという思いがしきり。4月号からは浜由子氏の「もうひとつのフィリピン-娼婦ブリジットの場合」という連載も始まる。いまは「浜より子」でフィリピンものの著作をけっこう目にするのでご存じの方も多いだろう。この連載はのちに単行本にまとめられて出版されたと記憶している。7月号からは上田紀行氏の「ペラデニア大学留学記」の連載もの。『スリランカの悪魔払い』(徳間書店)で90年メジャーになった。上田紀行氏も当時留学生だったんだぁ。
 オッキア・シン(デーリー・デリー紙記者)という正体不明(?)のインド人による「作ってみましょう-インド料理」という連載。これはおそらく創刊まもなくから続いていたのだろう。86年1月号で42回と記してある。これも88年に『食卓にインド』(六興出版)と題して本になった。
 ほか、山尾三省氏、西岡直樹氏…、表1のイラストは伊藤昭氏が連載。ちなみに西岡氏の「インド民話シリーズ」は2002年12月号で248回。計算すると第2号からの、なんと20数年にわたる連載となる!
 それにしても、あらためてその力量ある執筆者の面々に驚かされた。間違いなく「インド業界」において大きな足跡を刻んだ、ちいさな冊子だった。復刊を期待して…。(
平七丸)

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