体感するモンゴル現代史
著者:萩原 守
判型:四六判
頁数:424頁
ISBN978-4-931246-25-6  C0022
定価:本体3200円 + 消費税
【内容】
現代モンゴルの体験的解読
1980年代の社会主義時代から、90年代の資本主義への変革・混乱期を体感し、21世紀の喫緊の課題を展望する。
*日本図書館協会選定図書
【はじめにより抜粋】
私は本来、清代モンゴルの法制史が専門なので、ふだんは「自分自身では全く体感したことのない歴史」ばかりを講義・叙述している。タイムマシンでもない限りそれは仕方のないことではあるが、「歴史家は、見てきたような嘘を言い」と揶揄されることも多い。そこで、ふだんの罪滅ぼしというわけでもないが、せめて自分で体感することの可能な現代のことぐらいは、自分の目で見、耳で聞いたことだけを書こうということにしたのである。その結果必然的に、大所高所に立った政治史などではなくて、一般庶民の日常生活にまで問題関心のレベルを引き下げた現代史となった。
【書店様用注文短冊

【目次】
(1)
モンゴル民族史の流れ
チンギスハーンとモンゴル民族
モンゴル史の時代区分
アメとムチの清朝支配
独立への条件
追いつめられるモンゴル人と独立への道すじ
独立の挫折とモンゴル革命
革命後の外モンゴル
内蒙古自治区への道のり
戦後の外モンゴル

(2)
留学体験記(社会主義時代の記録)
平均気温は氷点下
勇敢で誇り高く、寛大ではあるが頑固で…
冬は肉と脂で乗り切る
ウランバートル点描
モンゴルに暮らす人たち
大学生活
多民族学生寮
寮生活奮闘記
ミシック先生の授業
留学期間中の旅行

(3)
資本主義化直後のモンゴル国
大混乱期のモンゴル再訪
ハイパーインフレと劣化するウランバートル経済
悪化する治安
古文書調査体験記

(4)
草原でのフィールドワーク
フィールドワークの自由化
西部モンゴルの民族・遺跡調査
南シベリアと北西部モンゴルの民族・遺跡調査
バイカル湖周辺、およびモンゴル国東部の民族・遺跡調査
中国内蒙古、赤峰市地区の民族・遺跡調査
中国内蒙古、フルンボイル盟の民族・遺跡調査

(5)
21世紀のモンゴル国とウランバートル
21世紀の政治状況
第8回国際モンゴル学者大会
2005年のウランバートル訪問
ルンデンドルジの来日
第9回国際モンゴル学者大会
2007年のウランバートル訪問

(6)
現代モンゴルの環境問題
自然環境に溶け込んで暮らす狩猟民、遊牧民
内モンゴルにおける草原の砂漠化と水資源の無駄使い
砂漠化の原因
植林の危険性
「退牧還草」「生態移民」政策と中国の食糧問題 
中国国内での「地上げ」と「土地転がし」
モンゴル国での土地問題と環境問題

【著者紹介】萩原 守(はぎはらまもる)
1957年兵庫県生まれ。大阪大学文学部卒業。同大学院博士後期課程単位取得退学(その間、1983〜85年にモンゴル国立大学へ国費留学)。大阪大学助手、神戸商船大学助教授、神戸大学国際文化学部教授等を経て、2007年から神戸大学大学院国際文化学研究科教授。東洋史学。博士(文学)。主要著作に『清代モンゴルの裁判と裁判文書』(創文社、2006年)、『中国法制史基本史料の研究』(共著、滋賀秀三編、東京大学出版会、1993年)。

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